がんと食事・生活習慣

食事からの摂取カロリーの考え方(エネルギー必要量の計算)

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・エネルギーの必要量はどのように計算できるか?
・年齢ごとの推定必要エネルギー量
・食事からのエネルギー源の内訳について

人間が生命を維持し、身体活動を行うためには、食事からエネルギーを摂取することが必要です。栄養学で用いられるエネルギーの単位がカロリー(cal)です。摂取カロリーが消費するカロリーよりも多ければ太りますし、逆であればやせることが多いでしょう。

適正体重(BMI: 18-49歳 18.5-24.9、50-69歳 20-24.9、70歳以上 22.5-27.4)であれば、それを維持するために下のような式が成り立つ必要があります。

 エネルギー摂取量 = エネルギー消費量

体重が増えてしまうときは、下のような状態になっています。

 エネルギー摂取量 > エネルギー消費量

以前から食事の種類も量も変わっていないのに体重が増えてしまう場合は、エネルギー消費量が減ってしまっているからかもしれません。

エネルギーの必要量はどのように計算できるか?

エネルギー必要量は、次の式で求めることができます。

 推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル

エネルギー必要量を計算するためには、まず、体の代謝を行うのに必要な基本的なエネルギー量(基礎代謝量)を確認する必要があります。これは、性別や体重でだいたい決まっていますが、体の筋肉量などでも異なります。たくさん食べても太りにくい人は、「基礎代謝量」が高いのです。

下記に基礎代謝量の表を示します。基礎代謝基準値に、ご自分の体重を掛けると基礎代謝量が計算できます。

自分の体重が理想体重と離れている場合には、理想体重で計算することで本当に必要な基礎代謝量が求められます。

*ちなみに、基礎代謝には以下のような推定式があります(国立健康・栄養研究所の式)
男性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.4235)×1,000/4.186
女性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1,000/4.186

参照体重における基礎代謝量(厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」2015年版より)

次に、どれくらい活発に体を動かしているかの指標である、「身体活動レベル」を決める必要があります。

座っている時間がほとんどで運動もほとんどしない場合は、身体活動レベルは「低い(1.5)」となります。

一方、動いたり、立っている時間が多く、活発な運動習慣がある場合は、身体活動レベルは「高い(2.0)」となります。

身体活動レベル(厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」2015年版より)

年齢ごとの推定必要エネルギー量

下記に、年齢、身体活動レベルごとの推定必要エネルギー量(kcal/日)を示しています。

中高年以上で、身体活動レベルがふつうであれば、1日あたりのおおよその必要エネルギーは、男性で2500 kcal、女性で2000 kcal程度と言えます。さらに、年齢が上がると必要エネルギーは低下していきますので、エネルギー(カロリー)のとりすぎには注意が必要です。

推定エネルギー必要量(厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」2015年版より)

食事からのエネルギー源の内訳について

エネルギー源になる栄養素は、炭水化物、タンパク質、脂肪の3つです。

炭水化物(Carbohydrate: C)は、1gあたりおよそ4 kcal
たんぱく質(Protein: P)は、1gあたりおよそ4 kcal
脂肪(Fat: F)は、1gあたりおよそ9 kcal

エネルギー摂取量(kcal) = 4 x C (g) + 4 x P (g) + 9 x F (g)

この式から分かることは、脂肪(F)はエネルギー密度が高く、カロリー不足であれば効率的に補給できますが、脂肪を取りすぎるとそれだけカロリーが増えてしまうということです。

そして、生活習慣病予防やがんのリスクを減らすために、炭水化物(C)、たんぱく質(P)、脂肪(F)の割合にも注意が必要です。

目安としては、脂肪(F)からのエネルギー比率は30%を超えないこと、たんぱく質(P)からのエネルギー比率は20%を超えないことがすすめられています。また、動物由来食品よりも、植物由来食品の摂取が多い方がより健康的であることがわかっています。

参考)厚生労働省 日本人の食事摂取基準https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html







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Dr. Hamaguchi(医師、医学博士)

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
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  • がんの炎症・代謝を考慮したがん治療やがんに関する情報についての発信をしています。

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