Q1. 食事はがんに対して効果があるのでしょうか?
食事が生活習慣病に大きな影響を与えるのと同様に、食事はがんにも影響を及ぼします。食事を変えるだけでがんが縮小したり、進行がゆっくりになったり、抗がん剤治療の効果が増したり、抗がん剤の副作用が減ったり。こういった効果を経験することがありますが、「こういう食事にすれば必ず良くなる」というような単純なものではありません。しかし、体の環境を決めるのは食事であり、がん治療に際し体の環境は整えることはとても重要です。
食事のがんに対する効果を評価するには、がん予防とがん治療の二つに分けて考える必要があります。
(1) がん予防については、どのような食事でがんの発症が少なかったかという疫学調査が行われています。多くの研究で、野菜・果物などの植物性食品が多く、肉類や高脂肪食、高カロリー食が少ない食事でがんのリスクが下がることがわかっています。
(2) がん治療については、がん予防に比べて大きな臨床研究が少ないのが現状です。しかし、食事によって抗がん剤などの治療効果が上がる可能性があることが報告されています。また、治療が難しい状態から改善したがんサバイバーの多くは、食事の改善に取り組んでいます。食事の内容は、がん予防の時の食事と同様ですが、より厳しく管理している方が多いです。
Q2. がん治療のためにどんな食事方法がありますか?
名前のついた有名なものには下記のようなものがあります。
・ゲルソン療法
ドイツの医師 マックス・ゲルソンが考案した食事法です。大量の野菜ジュースと無塩食を特徴とした菜食療法です。尿中Naの低下、尿中Kの上昇が認められます。
・甲田療法
玄米菜食、火を加えない生食であり、一種の飢餓療法です。食事法の中では、かなり厳しいものとなります。独断で行わず、診察や採血データのチェックをする必要があります。
・プラントベースホールフード
野菜・果物や豆類、穀類などの植物性食品を主体として、なるべく丸ごと(未加工の状態で)とる食事法です。
・アルカリ化食(Alkaline diet)
アルカリ化作用のある野菜・果物をしっかりとり、酸性作用の強い肉類や乳製品を控える食事法です。プラントベースホールフーに類似した食事ですが、尿pHの上昇を目標にしてみていくことが特徴です。
この他にも、糖質制限食や肉食を推奨した方法もありますが、過度な糖質制限は免疫を下げることが報告されております。また、肉食の増加はがんリスク上昇の報告が多くあります。一般的に、がん治療のための食事法として共通しているのは、野菜や果物などの植物性食品を十分にとる食事法です。
Q3. がん治療中にはどんな食事がよいですか?
がん予防に対しては、野菜・果物などの植物性食品が多く、肉類や高脂肪食、高カロリー食を控えた食事でがんのリスクが下がることがわかっています。
がん治療中にも同様の食事が良いと考えられます。今までの食生活からガラッと変えるためにはより厳しく取り組む必要があるかもしれません。ただし、がん治療中には食欲が減ったり、栄養不足になる危険もあるため、体調や検査データをみながら調整する必要があります。
プラントベースホールフードを中心としたアルカリ化食は、うまく管理できているかを尿pHの数値である程度把握することができるので、取り組みやすいかもしれません。
Q4. がん予防の食事とがん治療中の食事は違いますか?
がん予防に対する食事に比べてがん治療中の食事の研究はまだ少ないですが、基本的には同じように考えてよいでしょう。
がん予防のときと比べて注意すべきことは、以下の2点です。
1つ目は、がん治療中には食欲が減ったり、栄養不足になる危険もあるため、体調や検査データをみながら調整する必要があること。
2つ目は、がん予防の時よりも厳しく管理した方が良い可能性があること。治療が難しい状態から改善したがんサバイバーの多くは、しっかり食事の改善に取り組んだ方が多くいらっしゃいます。
*2019/11/8更新(随時、更新中)