50-60代の女性。
胃痛のような症状があり調べたところ、膵臓に腫瘤がみつかりました。同時にCT検査も行われ、精査の結果、膵臓がん、多発肝転移、ステージIVと診断されました。
膵臓がんの治療成績はまだまだ満足のいく結果にほど遠く、特に他の臓器に転移があるステージIVでは大変厳しい状況が続いています。
全がん協生存率(https://kapweb.chiba-cancer-registry.org/full)で、主要ながん拠点病院のデータをみることができます。それによると、1年生存率で20%程度、3年生存率で3-4%、5年生存率は1-2%となります。
ステージIVでは、抗がん剤治療が行われます。この方は、ゲムシタビン+アブラキサンという抗がん剤の投与が開始されました。その後のCT検査では、腫瘍はわずかに残るもののほぼ消失。その後は、副作用のためゲムシタビンだけとなり、さらに投与量も減らして治療が行われました。
膵臓がんの治療成績が悪いのは、たとえ抗がん剤で縮小したとしてもぶり返してしまうことが多いからです。しかし、この方は減量されたゲムシタビンを継続され、悪化の兆候なく経過しています。
☆5年以上が経過していますが、落ち着いています。
この方が他に取り組んだ主なことは、アルカリ化食(Alkaline diet)、ビタミンCの点滴、糖尿病の治療薬をメトホルミンに変更したことでした。メトホルミンは、がんの代謝を抑える作用が報告されています。
ファイル2 膵臓がん ステージIV
投稿日:2019年7月5日 更新日:
執筆者:Dr. Hamaguchi