60-70代の男性。
この患者さんは、以前の記事にも紹介しました(「治らない」と言われながらも、がんを乗り越えた人、がんと共存している人)。
肺がんには、大きく分けて小細胞がんと非小細胞がんがあります(この二つは治療薬が異なります)。
この方は、肺の非小細胞がんの中の腺がんというタイプで、当時の診断でstage IIIbという他の臓器への転移はないもののかなり進行したステージでした(当時の5年生存率は10%以下です)。
がんが広がっているため手術はできず、抗がん剤、放射線の治療が行われました。一旦はがんが小さくなり、落ち着いていましたが、数年後にリンパ節転移、胸部への転移が見つかります。抗がん剤で改善するも、また数年たって再発。しかし、抗がん剤治療だけでなく、大きく食事を変えることにより、その後、多少の腫瘍マーカーのアップダウンはありますが、明らかな再発なく過ごしています。
この方が取り組んだことは、今までの食事を甲田療法という食事に全面的に変えたことでした。最後の抗がん剤治療は2度目の再発の時で、それ以降は抗がん剤治療は行なっていません。
☆診断後20年以上経過しています。抗がん剤、放射線治療後に転移が見つかってからは15年以上です。
甲田療法は玄米生菜食の食事であり、一種の飢餓療法で非常に厳しいものです。栄養を制限することでがんの進行をふせぎ、がん細胞のアポトーシスを招くことを期待するものです。この方は、体調を確認しながら自分で食事を管理しています。
甲田療法が本当にがんに効くかどうかはわかっていませんが、この方には合っていたようです。実際に行う場合には、栄養不良などの危険を伴う可能性もあるため、血液検査データなどもみながらしっかり管理して行う方が安全でしょう。
他の取り組みとしては、免疫改善のために温泉などで体をあたためたり、腸内環境改善のため植物由来乳酸菌をとったり、体質改善につながる取り組みを行なっています。