がんサバイバー 肺がん

ファイル9 進行期(stage III)の肺がん 抗がん剤、放射線後の再発

投稿日:

60代の男性。

この患者さんは、以前の記事にも紹介しました(「治らない」と言われながらも、がんを乗り越えた人、がんと共存している人)。

肺がんには、大きく分けて小細胞がんと非小細胞がんがあります(この二つは治療薬が異なります)。

この方は、肺の非小細胞がんの中の腺がんというタイプで、当時の診断でstage IIIbという他の臓器への転移はないもののかなり進行したステージでした(当時の5年生存率は10%以下です)。

がんが広がっているため手術はできず、抗がん剤、放射線の治療が行われました。一旦はがんが小さくなり、落ち着いていましたが、3年後にリンパ節転移、胸部への転移が見つかります。抗がん剤で改善するも、その2年後にはまた再発。しかし、抗がん剤治療だけでなく、大きく食事を変えることにより、その後、多少の腫瘍マーカーのアップダウンはありますが、明らかな再発なく過ごしています。

この方が取り組んだことは、今までの食事を甲田療法という食事に全面的に変えたことでした。最後の抗がん剤治療は2度目の再発の時で、それ以降は抗がん剤治療は行なっていません。

☆執筆時点で診断後18年以上経過しています。抗がん剤、放射線治療後に転移が見つかってからは15年以上です。

甲田療法は玄米生菜食の食事であり、一種の飢餓療法で非常に厳しいものです。栄養を制限することでがんの進行をふせぎ、がん細胞のアポトーシスを招くことを期待するものです。この方は、体調を確認しながら自分で食事を管理しています。

甲田療法が本当にがんに効くかどうかはわかっていませんが、この方には合っていたようです。実際に行う場合には、栄養不良などの危険を伴う可能性もあるため、血液検査データなどもみながらしっかり管理して行う方が安全でしょう。

他の取り組みとしては、免疫改善のために温泉などで体をあたためたり、腸内環境改善のため植物由来乳酸菌をとったり、体質改善につながる取り組みを行なっています。







-がんサバイバー, 肺がん

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Dr. Hamaguchi(医師、医学博士)

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
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  • がんの炎症・代謝を考慮したがん治療やがんに関する情報についての発信をしています。

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