トリテルペノイドとは?
トリテルペンは、主に植物に含まれる生理活性物質です。トリテルペンが酵素などにより修飾されたものはトリテルペノイドと呼ばれます。ここでは、トリテルペノイドもトリテルペンもほとんど同じものと考えて問題ありません。
トリテルペノイドは天然に広く存在し、伝統的に薬用植物として使われていたものの多くに有効成分の一つとしてトリテルペノイドが見つかっています。
トリテルペノイドには、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、代謝機能促進作用などが報告されています。
特に、炎症に関与するNF-κB、STAT3を抑えることによって、腫瘍の増殖や浸潤、血管新生、転移を減らし、がんの予防や治療に対して効果が期待されています。
獣医学の分野では、トリテルペンの一種であるルペオールが、皮膚のがんである悪性黒色腫(メラノーマ)に効果があることが報告されています。
テルペン類についてのもう少し詳しい説明
テルペン類はメバロン酸経路から生合成され、テルペノイド類は生物の二次代謝産物として自然界に広く存在します。
テルペン類は、炭素が5個を一つの単位(C5)としたイソプレンで構成され、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セスタテルペン(C25)、トリテルペン(C30)、テトラテルペン(C40)などに分類されます。
トリテルペンだけでなく、他のテルペン類にも様々な生理活性作用があります。例えば、モノテルペンは精油に含まれ、香料として使用されます。ジテルペンは、レチノール(ビタミンA)の骨格となり、また、テトラテルペンは、カロテノイドの基本骨格として働いています。
トリテルペノイド(トリテルペン)が含まれる物質
トリテルペノイドで有名なものには、ベツリン酸やオレアノール酸、ウルソール酸などがあります。樹皮やキノコ類、ベリー類や柑橘類、りんご(特に皮)、梅などの果実、ハーブ類などに含まれています。
下の図は、トリテルペノイドを含む物質の例です。果実類、ハーブ類を中心とした植物性食品に多く含まれていることがわかります。
トリテルペノイドをとるためには、酸味のきいた果実類などを十分にとることが重要です。昔から、梅の産地の和歌山県や群馬県などでは、梅の果肉をしぼって煮詰めた梅エキスは民間薬、伝統的健康食品として常備されていました。
梅エキスは、1kgの梅から20-40g程度しか作れません。それだけ梅の成分が濃縮した梅エキスは、トリテルペノイドをとるのにも役立ちます。
梅エキスをとってから、検査データの炎症マーカーが下がるケースを経験することがあります。また、梅にはアルカリ化作用もあるため、この点からもがんの代謝に良い影響があるかもしれません。
参考文献
1) Toxins 2010, 2, 2428-2466; doi:10.3390/toxins2102428
2) 天然トリテルペンの抗炎症、抗腫瘍および発がん予防機能 オレオサイエンス 第7巻第10号(2007)、445-453
[…] 1. トリテルペノイド […]