EBMとは何か?それは、研究により根拠が示されている治療のこと
Evidence(エビデンス)という言葉は、根拠や証拠といった意味で、医療以外の分野でもよく使われています。つまり、EBM (Evidence based medicine)とは、Evidence(エビデンス、根拠)に基づいた治療という意味で、研究により検証され、効果を証明された治療のことです。
エビデンスにはレベルがあって、質の高い研究で証明されているものはレベルが高く、まだまだ報告が十分でないものはレベルが低いといわれます。
あるがんに対してAという治療薬が効くかどうかを検証するためには、治療薬Aとプラセボ(偽薬)を投与して、ちゃんとAに効果があったのかを調べるのです。
エビデンスを証明することは難しい
現在、標準治療として行われているがん治療は、もちろん全て研究によって効果を証明されたものです。とくに抗がん剤は副作用もある劇薬なので、効果が証明されなければ薬として認められません。
ただし、EBMにも限界はあります。医療には不正確なものを極端に排除する傾向があります。例えば、あるがんに対してAという薬よりもBという薬がよく効くというデータがあって、新たに、Bという薬よりもCという薬がよく効くことがわかりました。それなら、「AよりもCの方が効きますね」となりそうですが、まだそうは言い切れない。AとCを比べる研究をしないとダメなのです。
「エビデンスがない」ということの意味は?
「その治療にはエビデンスがありません」と説明されることがあります。
例えば、〇〇という治療法についてテレビで見たのだけど、あるいは、〇〇という健康法を本で読んだのだけど、わたしのがんにはどうでしょう?
それに対して「エビデンスがない」と言われた場合、治療法については、そのがんに対しての研究が行われて有効ではなかったのかもしれませんが、まだ研究自体行われていないことが多いでしょう。健康法については、そもそもほとんど研究が行われていないでしょう。
つまり、「エビデンスがない」という場合は、効かないことがわかっているというより、研究自体が行われていないということがほとんどです。