がん免疫 がん治療の考え方

栄養、免疫、炎症についての血液検査の簡単な見方

投稿日:

健康診断や診察で血液検査を行っても、大きな異常がなければ詳しく説明を受ける機会はあまりないかもしれません。がん治療のときには、栄養や免疫、炎症の状態を把握しておくことは大切です。ここでは、①栄養、②免疫、③炎症の状態について、血液検査の値から判断できる簡単な見方を解説します。

① 栄養

栄養状態は、血液中の総蛋白、アルブミンで評価します。総蛋白のおよそ3分の2を占めるのがアルブミンであり、アルブミンが十分であれば、栄養状態は良好と判断することができます。

総蛋白とアルブミンの基準値は下記のようになります(検査施設によって多少違いがあります)。

総蛋白(Total protein: TP) 基準値 6.7-8.3 g/dl  目標 7.0以上
アルブミン(Albumin: Alb) 基準値 3.8-5.2 g/dl  目標 4.0以上


アルブミン(Alb)が4.0以上であれば、通常、栄養状態は問題なく、蛋白不足もないと考えてよいでしょう。Albが検査されていない場合には、総蛋白(TP)が7.0以上であれば概ね問題ないでしょう。

肉食を減らし、植物性食品を増やした食事にすると、栄養不足になるのではないかと心配になるかもしれません。しかし、総蛋白、アルブミンの経過をみると、栄養不足、蛋白不足はほとんど起こらないことがわかります。心配であれば、総蛋白、アルブミンの経過をみると安心です。

*なお、総蛋白、アルブミンも高すぎる場合には異常が隠れている場合があります。基準値を超えて上昇している場合には調べることが必要です。

② 免疫

免疫の状態は、血液中の白血球の状態を見ることである程度判断できます。白血球には様々な種類があり、好中球やリンパ球、好酸球、単球などがあります。この中で、がん免疫に特に関係するのはリンパ球です。

白血球数の基準値は下記のようになります(検査施設によって多少違いがあります)。好中球やリンパ球は、白血球の中の割合(%)で表されます。
*例えば、白血球数が5000で好中球が60%であれば、好中球数は5000 x 60% = 3000となります。

白血球数(WBC) 基準値 4000-8000 /μl 
好中球(Neutroなど、Stab、Segとある場合は両者の和) 基準値 40-70% 
リンパ球(Lymphなど) 基準値 20-50%
 

目標は、リンパ球数が1800-2000以上です。この状態であれば、免疫の状態は概ね良好と考えられます。これは、白血球数が5000であれば、リンパ球 36%以上、白血球数が6000であれば、リンパ球 30%以上となります。

別の見方として、好中球(N)/リンパ球(L)での評価も役立ちます。好中球とリンパ球はバランスをとって変動します。この数値が高いほど好中球優位に傾いており、リンパ球が少ないことを意味しますので、高くなり過ぎない方がよいのです。目標は、N/L < 1.5-2.0です。

*抗がん剤治療中には、白血球数が下がり、好中球、リンパ球のバランスがくずれることが多くあります。白血球数、リンパ球数が目標値に近ければ、概ね免疫が保てていると判断できます。なお、白血球数は多過ぎても問題がありますので、調べる必要があります。

③ 炎症

炎症の状態は、血液中のC反応性蛋白という数値で評価します。これは、CRPと呼ばれ、炎症があると血液中に増えてくる物質です。

CRPの基準値は下記のようになります(検査施設によって多少違いがあります)。

CRP  基準値 0.30 mg/dl以下 目標は0.05以下

CRPは、0.30以下であれば通常問題ないと判断されますが、0.30以下の範囲でも数値は変動しています(検査施設によっては、0.30以下としか記載されない場合もあります)。炎症が落ち着いていると判断するには、CRPは0.05以下となるのが理想です。







-がん免疫, がん治療の考え方

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

エビンデンス ベースド メディシン(Evidence based medicine (EBM):根拠に基づいた治療)

EBMとは何か?それは、研究により根拠が示されている治療のこと Evidence(エビデンス)という言葉は、根拠や証拠といった意味で、医療以外の分野でもよく使われています。つまり、EBM (Evide …

アルカリ化療法(アルカリ化食 + 重曹)

がんは、正常細胞とは異なる環境、つまり、がん微小環境(Tumor microenvironment)を形成しています。がん微小環境の大きな特徴は、解糖系の亢進と主にNa+/H+ポンプによるがんの細胞内 …

サイエンス ベースド メディシン(Science Based Medicine: SBM):科学に基づいた治療という考え方

SBM (Science based medicine)とは何か? SBMは、論文で科学的に証明されたこと(例えば、新しくわかったがんの特徴的な代謝のことや、がんの免疫のことなど)や、がん患者さんの経 …

がんが治るとはどういうこと?

がんが消えたかどうか、がんが治ったかどうかの判定はむずかしい がんが消えたかどうか、本当に体の中にがんがないかどうかの判定は実はとても難しいです。CTなどの画像検査では、5mmくらいの大きさのものなら …

改訂 がんとエントロピー

 本書は、2011年に発刊された前書『がんとエントロピー「からだ力」で立ちむかう(NTT出版)』を加筆・修正し、改訂したものです。前著は絶版となり、手に入りにくい状態が続いておりました。 本書では、が …

Dr. Hamaguchi(医師、医学博士)

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  • がんの炎症・代謝を考慮したがん治療やがんに関する情報についての発信をしています。

著者紹介はこちら↓

http://dr-hamaguchi.com/author-profile/