・AIの発展
・ディープラーニングによる画像認識
・AIと医療
AIの発展
ここ数年、AI、いわゆる人工知能の話題が多く聞かれるようになってきました。現在は第3次AIブームと言われ、機械学習とディープラーニングが目玉になっています。これによって、とくにAIによる画像認識の能力が向上し、実用化が進んできています。これは、医療分野でも例外ではありません。
医療における画像認識とは、例えば、レントゲンやCT写真の読影であったり、内視鏡所見、皮膚所見、病理所見の診断などです。今まで専門医の眼で異常を確認して診断していたものを、AIが異常を感知することができるようになり、診断のサポートが可能になってきました。
ディープラーニングによる画像認識
東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 特任准教授の松尾豊氏によると、AIの画像認識の発展は、2012年に開発された「ディープラーニング(深層学習)」という機械学習の成果だと言います。ディープラーニングという言葉はすでにメディアでも多く取り上げられ、本や雑誌でもしょっちゅう目にするようになっています。
身近な具体例でいうと、iphoneを使っている方であれば、自分が撮った写真で検索してみると画像認識の精度がわかります。例えば、動物や電車などと検索すると、それが写っている写真を見つけてくれるのです。わたしの場合はネコを飼っていますので、ネコと検索するとズラーっと一覧にして表示してくれて、すごいなと感心したものです。
ディープラーニングでは、データを元に、あるものの特徴を把握してその特徴を学習し、他と区別することができます。つまり、ネコの写真を何千枚も読み込ませて、それをネコだとコンピューターに教えてあげると、ネコの画像から特徴を学習し、ネコ以外の画像と区別することができるのです。間違いがあれば、正しく教えてあげるということを繰り返して、より正確になっていくのです。
AIと医療
医療分野というのは、AI導入を進めやすい領域と言えます。なぜなら、医学論文やガイドラインといった形で、専門的な知識が体系立てて整理されているので、ビッグデータとして活用しやすいのです。ただし、今あるデータが本当に正しいかどうか、今あるデータだけで十分かどうかはわかりません。当然、十分にデータ化されていないものもあるでしょう。そのため、常にアップデートが必要です。
まだ、AIに言語理解はできないので、実際の問診やカルテに記載されたテキストデータなどの解析は難しいでしょう。しかし、明確な答えのある医療画像については、AIによる診断のサポートはかなり有用です。例えば、医療画像の読影は放射線科医が専門家として行っていますが、専門家としての経験によるパターン認識で診断が行われています。稀な疾患であれば、専門家の経験値によっても診断精度がばらつきますが、AIであればデータを正しく教えこむことによって、このようなばらつきを減らすことができます。そして、医療現場でも単純な読影作業を減らすことができ、診断の難しいケースや迷うケースなどに時間をより割けるようになるでしょう。